|
2001.Aug.
長拳ヘッドコーチ 竹中 保仁 記
私たちの協会では現在約30名の青少年達が長拳を学んでいます。
毎年夏に合宿を行っていますが、昨年の合宿時に、「ぜひ一度中国
で長拳を学習してみたい」という要望が熱心に学習している生徒、保
護者達からあがり、今回の研修を実現させるきっかけとなりました。

北京武術隊のある什刹海体育運動学校の前で抱拳礼
これまで当協会では一般成人の訪中研修は何度も行っていますが、
今回は初めて青少年達を中心とした訪中研修団であり、一般の団と
は違って引率や保護者同伴の問題等、いろいろと対応しなければな
らない問題が多く、またほとんどのメンバーが中国や海外旅行がは
じめてということで、何かと準備が大変でした。
今回の研修に参加した生徒は谷野こころ5才(神戸華僑幼稚園)、
浅井拓登9才(乙木小学校)、井ノ上愛理10才(魚住小学校)、
東内陽介14才(大久保北中学校)、佐野光13才(賢明女学院中学校)
の5名とそれに引率者として私と王正客員コーチ、保護者、付き添い
等を含めて総勢17名の団となりました。 8月9日に北京到着、翌10日
より什刹海体育運動学校内にある北京武術隊で研修が始まりました。

北京武術隊での練習風景の一コマ
北京武術隊は、現在アクションスターとして活躍しているジェット・リー
(リー・リンチェイ)はじめ、多くの有名選手を輩出している名門チーム
です。現在、日本連盟技術委員会副委員長の孫建明・李霞の両先生
もこの武術隊のご出身です。 午前中の練習はちょうど同じ時期に研
修に訪れていたアメリカの武術チームの選手達と一緒でした。お互い
はるばる中国まで来て練習する仲間ということとでちょっとした連帯感
が生まれ、また"武術"は"WUSHU"として世界に広がっていることを
実感しました。午後は北京隊のジュニアチームと一緒に練習させても
らうことができたのですが、次世代を担う選手達の卵達と我々の生徒
達と比較すると当然なのですが、技術的にも体力的にも大きな差があ
りました。でも比較的年齢層も近いこともあり、うまくできない基本動作
があれば親切に教えてくれたりして、言葉は通じなくても同じ武術、長
拳をやる仲間として暖かく迎えてくれました。単に技術だけではなく、
いろいろな経験と交流ができてよかったと思います。

北京隊のジュニアチームのメンバーたちと
8月11日の午前は北京隊代表チームが第9回全国運動会にむけての
"測験"(リハーサル)を行うことになっており、特別に参観させてもらえ
る幸運に恵まれました。中国では4年に一度国内オリンピックともいえ
る全国運動会が開催されており、今年はちょうどその年に当たります。
武術競技は8月21日〜23日・広東省順徳市で決勝が行われるため代
表隊は最終調整期間に入っており、リハーサルとはいえ本番さながら
の緊迫した雰囲気の中で、次々と演技が繰り広げられました。
5月に大阪で開催された東アジア競技大会の時にお会いした呉彬先生
もちょうど同席されており、今回の研修でお世話になった御礼を兼ねて
挨拶をした際に、少しお話を伺うことができました。全国運動会は関係
者にとっては非常に重要な大会であり、またちょうど2008年の北京オリ
ンピック開催が決定し、武術競技の種目採用に向けて盛り上がりをみ
せており、各省市代表チームの今大会にかける意気込みには凄いもの
があるようです。代表隊の選手達の次々と繰り広げられる演技はみな
どれも難度、スピード、パワーとも東アジア競技大会の時よりも格段に
レベルが上がっているように感じられました。
参観していた生徒も付き添いの保護者達も皆初めてみる中国トップレ
ベルの選手達の動きと、その迫力に圧倒されたようです。この午前中
の参観が良いイメージトレーニングになったのかもしれませんが、午
後からの練習では生徒達も体が環境に慣れてきたこともあり、動きに
より長拳らしい雰囲気がでてきました。
8月12日には北京体育大学主催の第7回国際武術太極拳交流大会に
参加し4名が選手として出場しました。研修の引率役である私は1992年、
もう一人の引率役である王正コーチは94年に北京体育大学武術系を
卒業しています。今回自分たちが指導する生徒達を連れて母校が開催
する大会に参加させるということで、生徒達よりも緊張してしまい、しばら
くぶりの母校訪問も感傷にふけるひまもありませんでした。それに北京
市内の変貌ぶりが、学校周辺にまで及んでいることにも驚かされました。
出場した生徒達は皆日本国内の大会では、既に何度か選手として出場
していますが、今回は初めての中国でしかも国際大会ということもあり、
少し緊張したようです。成績の方は競技項目に出場した東内陽介君が
頑張ってくれ、長拳で優勝することができました。ほかの3名は表演項目
のため表彰はありませんでしたが、よく健闘してくれました。

北京体育大学内にある武術館前で
8月13日は練習班と観光班に分かれて活動し、翌14日はオリンピック
開催都市となった北京の街を思う存分楽しみ、観光・買い物で練習の
疲れを癒しました。そして全員これといったケガも病気もなく15日には無
事帰国しました。
帰国後、神戸新聞8月25日付け夕刊に今回の北京研修の紹介記事が
載り、さらに9月14日にはサンテレビのバラエティ番組に出演してカンフー
体操を指導し、北京研修旅行の様子を紹介する機会を得ました。
こうした地元のマスメディアを通じて、より多くの人達にカンフー体操や
長拳について知ってもらい、将来オリンピック選手になるかもしれない
可能性のある子供達が一人でも多く練習してくれるようになってほしいと
思います。
また、来年は兵庫県で第10回JOCジュニアオリンピックカップが開催さ
れます。今回の北京での研修ならびに一連の活動を通じて得られた
貴重な体験を生かして、選手の育成にも頑張りたいと思います。そして
より多くの選手を出場させて、初めての地元開催となるこの大会を盛り
上げることができれば幸いです。
最後に今回の北京武術隊での研修は李霞先生のご紹介とお世話に
より、実現することができました。厚く御礼申し上げます。また、まだまだ
未熟な日本の生徒達に対して、暖かく丁寧に指導していただきました
北京武術隊のコーチをはじめとして選手、ジュニアの皆さん、それに
呉彬先生ならびにすべての関係者の方々に、この場をお借りして改めて
感謝申し上げたいと思います。
INDEX
|